暗号資産市場は、新たな投資フェーズを迎えています。かつての投機的なイメージから、現在は資産形成の有力な選択肢として定着しつつありますが、実際の個人保有者がどの程度の利益を得ているのか、その実態は不透明な部分も少なくありません。
本記事では、独自に実施した暗号資産利用者307名へのアンケート調査を基に、保有者の年間利益額の分布や、収益に直結する投資スタイルの傾向を詳細に分析しました。
調査の結果、利用者の約75%が利益を経験しているものの、その利益額は「10万円未満」が約7割を占めるという、極めて堅実な運用実態が明らかになりました。暗号資産投資で「勝っている保有者」がどのような戦略を選び、どのように情報を収集しているのか、最新のデータからその成功の法則を紐解きます。
利益額は5万円未満が過半数で少額運用が中心
継続的な利益は2割強

回答 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
毎年、利益が出ている | 71人 | 23.13% |
利益が出た年と出なかった年がある | 159人 | 51.79% |
これまで利益が出たことはない | 51人 | 16.61% |
分からない/把握していない | 26人 | 8.47% |
直近で最も利益が出た年の年間利益 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
1万円未満 | 77人 | 25.08% |
1万円以上〜5万円未満 | 69人 | 22.48% |
5万円以上〜10万円未満 | 68人 | 22.15% |
10万円以上〜20万円未満 | 31人 | 10.1% |
20万円以上〜50万円未満 | 19人 | 6.19% |
50万円以上〜100万円未満 | 10人 | 3.26% |
100万円以上 | 13人 | 4.23% |
利益は出ていない | 13人 | 4.23% |
答えたくない | 7人 | 2.28% |
自社で実施したアンケートの結果、暗号資産取引において「毎年利益が出ている」と回答した層は23.13%となりました。「利益が出た年と出なかった年がある(51.79%)」という回答と合わせると、全体の約75%がこれまでに収益化を達成した経験を持っています。市場のボラティリティに左右されつつも、多くの保有者がチャンスを捉えている実態が浮き彫りになりました。
具体的な年間利益額の分布を見ると、最も割合が高いのは「1万円未満」で25.08%に達しています。これに「1万円以上〜5万円未満(22.48%)」と「5万円以上〜10万円未満(22.15%)」を加えると、全体の69.71%が10万円未満の利益レンジに留まっていることが分かります。この数値から、多くの個人保有者は巨額の利益を狙うよりも、少額からの堅実な運用を主軸としている現状が推察されます。
一方で、100万円以上の高額利益を達成している保有者は4.23%と極めて限定的。暗号資産は一攫千金のイメージで語られがちですが、実際のデータが示すのは、リスクを抑えた小規模なプラス収益を積み重ねる保有者像です。
暗号資産市場は既に、投機的な場から資産形成の選択肢の一つへと、保有者の意識がシフトし始めていることを示唆する結果といえるでしょう。
100万円超の利益は年収800万円以上に集中

世帯年収 | 1万円未満 | 1万〜5万 | 5万〜10万 | 10万〜20万 | 20万〜50万 | 50万〜100万 | 100万以上 | 利益なし | 答えたくない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
200万円未満 | 15 | 11 | 8 | 1 | 1 | 0 | 1 | 3 | 3 |
200〜400万円 | 15 | 16 | 18 | 3 | 2 | 3 | 1 | 1 | 1 |
400〜600万円 | 24 | 23 | 13 | 8 | 5 | 2 | 2 | 2 | 2 |
600〜800万円 | 10 | 11 | 13 | 11 | 8 | 3 | 4 | 3 | 1 |
800〜1000万円 | 8 | 6 | 7 | 6 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 |
1000〜1200万円 | 2 | 2 | 6 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 |
1200〜1500万円 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
1500〜2000万円 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
2000万円以上 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
世帯年収と年間利益額の相関関係を分析したところ、高所得層になるほど10万円を超える利益を獲得する割合が高まる傾向が見て取れます。特に年収600万円から800万円の層では、10万円以上の利益を上げている回答者が26名存在し、これは同層の利益経験者の約半数に相当します。運用に回せる余剰資金の規模が、そのままリターンの絶対額に反映されるという投資の基本構造を裏付けるデータとなりました。
また、100万円以上の最高収益レンジに注目すると、年収800万円以上の世帯から高頻度で出現していることが分かります。特筆すべきは年収1000万円から1200万円の層で、回答者のうち約2割が100万円超の利益を達成しています。十分な投資元本を確保できれば、無理なレバレッジをかけずとも現物取引だけで大きなリターンを得られる可能性が高まることを示しています。
一方、全所得層に共通して見られるのは、依然として「5万円未満」の少額利益が最も多いという事実です。年収1000万円を超える富裕層であっても、その多くは数万円規模の利益に留まっており、資産の大半を暗号資産に投じるようなリスク行動は抑制されていると分析できます。結果として、年収に応じた利益の拡大傾向は存在するものの、すべての層において慎重かつ健全な運用姿勢が維持されていることが明らかになりました。
40代・50代が収益化を牽引
10歳刻み年齢 | 1万円未満 | 1万〜5万 | 5万〜10万 | 10万〜20万 | 20万〜50万 | 50万〜100万 | 100万以上 | 利益なし | 答えたくない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20代 | 4 | 18 | 20 | 4 | 4 | 2 | 0 | 2 | 0 |
30代 | 25 | 19 | 19 | 10 | 4 | 5 | 2 | 5 | 2 |
40代 | 24 | 14 | 9 | 10 | 7 | 3 | 5 | 2 | 1 |
50代 | 22 | 10 | 16 | 3 | 2 | 0 | 4 | 2 | 4 |
60代 | 1 | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 |
70歳以上 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 |
世代別の利益実績を詳細に調査した結果、暗号資産の収益化において40代と50代が市場の牽引役となっている実態が確認されました。20代においては100万円を超える利益を計上した回答者はゼロであり、収益の大半が10万円未満に集中しています。これに対し、40代では5名、50代では4名が100万円以上の利益を達成しており、年齢を重ねるにつれて獲得できる利益レンジが広がっていることが分かります。
30代についても、10万円以上の中規模な利益を上げている保有者が一定数見られ、積極的な資産形成への意欲がうかがえます。しかし、同時に「利益は出ていない」と回答する割合も若年層ほど高く、市場経験の浅さが結果に影響している可能性は否定できません。若年層はまずは少額から取引を開始し、相場の波に慣れるためのフェーズにいる保有者が多いと推察されます。
興味深いのは、70歳以上のシニア層でも100万円以上の利益を上げているケースが確認された点です。この世代は従来の金融資産運用で培った経験を暗号資産市場でも応用し、的確なエグジット戦略を構築している可能性があります。全体を俯瞰すると、年齢とともに資金力や経験値が蓄積されることで、より高額な利益を狙える投資判断力が養われている結果が示されました。
堅実な運用スタイルが安定した収益獲得の鍵
約半数が長期保有を選択

投資スタイル | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
長期保有が中心 | 148人 | 48.21% |
短期売買と長期保有の両方 | 67人 | 21.82% |
短期売買が中心 | 57人 | 18.57% |
取引頻度は高くない | 19人 | 6.19% |
答えたくない | 16人 | 5.21% |
自社で実施した本調査において、保有者の具体的な取引スタイルを確認したところ、「長期保有が中心」と回答した層が48.21%と最多になりました。これは「短期売買が中心(18.57%)」の約2.6倍に相当する数値であり、暗号資産市場においても長期的な価値上昇を待つ戦略が主流であることが分かります。暗号資産は価格の激しい上下が特徴ですが、多くの保有者は目先の変動に翻弄されず、どっしりと構える姿勢を選択しています。
また、「短期売買と長期保有の両方」を使い分けるハイブリッド型の保有者も21.82%存在しています。この層を含めると、全体の約7割が投資戦略のなかに「長期保有」を取り入れている計算となります。頻繁な売買によるストレスや手数料負担を避け、将来的な市場の拡大に期待を寄せる傾向は、暗号資産が成熟した投資対象へと変化している証左といえるでしょう。
一方で、取引頻度が高くない層や無回答の層も一定数見られ、投資に対する関与度は人によって差があることも示されました。しかし、全体を俯瞰すれば「短期的な投機」よりも「中長期的な資産形成」を目的とした動きが圧倒的に強く、暗号資産投資における王道スタイルは長期保有であることがデータからも証明されています。
長期保有派の6割以上が利益を経験
取引スタイル / 利益実績 | 毎年、利益が出ている | 利益が出た年と出なかった年がある | これまで利益が出たことはない | 分からない/把握していない |
|---|---|---|---|---|
長期保有が中心 | 38 | 79 | 24 | 7 |
短期売買と長期保有の両方 | 21 | 38 | 4 | 4 |
短期売買が中心 | 11 | 34 | 8 | 4 |
取引頻度は高くない | 1 | 5 | 8 | 5 |
答えたくない | 0 | 3 | 7 | 6 |
取引スタイルと利益実績をクロス分析した結果、収益の安定性において長期保有派が非常に優れたパフォーマンスを示していることが判明しました。「長期保有が中心」の保有者148名のうち、「毎年利益が出ている」あるいは「利益が出た年がある」と回答した層は合計117名に達し、全体の約79%を占めています。短期的なボラティリティを無視して保有を続けることで、結果的にプラスのタイミングで決済できている実態がうかがえます。
「短期売買と長期保有の両方」を行う層においても、約88%が高い確率で利益を経験しており、極めて効率的な運用が行われていることが分かります。この層は「毎年利益が出ている」割合が約31%と、長期保有のみの層(約25%)よりも高く、相場環境に合わせた柔軟な立ち回りが奏功していると推察されます。資産の一部を寝かせつつ、一部で利益を確定させる手法は、リスク管理とリターン追求を両立させる合理的な選択肢と言えるでしょう。
対照的に「取引頻度は高くない」と回答した層は、利益が出た経験を持つ割合が約31%に留まり、過半数が「これまで利益が出たことはない」と回答しています。休眠状態に近い運用では、利益確定のチャンスを逃してしまっている可能性が高いと考えられます。安定した収益を目指すのであれば、明確に「長期保有」を戦略に据えるか、あるいは市場の変化に一定の関心を持って対応する姿勢が重要であると言えます。
女性は8割以上が長期保有を軸に運用
性別 / 取引スタイル | 長期保有が中心 | 短期売買と長期保有の両方 | 短期売買が中心 | 取引頻度は高くない | 答えたくない |
|---|---|---|---|---|---|
男性 | 96 | 48 | 44 | 10 | 11 |
女性 | 52 | 19 | 13 | 9 | 5 |
性別による取引スタイルの違いを調査したところ、投資アプローチにおいて興味深い男女差が浮き彫りになりました。男性保有者は「長期保有(約45%)」を主軸にしつつも、「短期売買(約21%)」や「使い分け(約23%)」にも積極的に挑戦する傾向が見られます。アクティブな取引を通じて利益を追求する層が一定数存在しており、市場の流動性に寄与している保有者像が見て取れます。
女性保有者においては、「長期保有」が約53%と過半数を占め、さらに「使い分け」を合わせると全体の約7割以上が長期的な視点を持っています。「短期売買が中心」と回答した女性は約13%に留まっており、リスクを最小限に抑えつつ堅実に資産を増やそうとする傾向が男性よりも顕著です。女性は家計管理や将来の備えとして暗号資産を捉えている側面が強く、より安全志向な運用が選択されていると分析できます。
この差異は、情報収集のスタイルや投資に割く時間のリソースの違いも影響している可能性があります。男性は頻繁な価格チェックやテクニカル分析を楽しむ層が厚いのに対し、女性は生活のなかで無理なく続けられる「ほったらかし運用」を支持していることがデータから読み取れます。いずれの性別においても長期保有が最大勢力である点は共通していますが、男性の方がより多様な手法を組み合わせて市場にアプローチしているといえます。
少額から始めて資産を育てる着実な運用
7割以上が10万円未満から開始

投資額の推移 | 当初の投資額(Q5) | 現在の投資規模(Q6) |
|---|---|---|
1万円未満 | 105人 (34.20%) | 91人 (29.64%) |
1万円以上〜10万円未満 | 118人 (38.44%) | 108人 (35.18%) |
10万円以上〜50万円未満 | 50人 (16.29%) | 60人 (19.54%) |
50万円以上 | 19人 (6.19%) | 30人 (9.77%) |
答えたくない | 15人 (4.89%) | 18人 (5.86%) |
自社で実施した調査の結果、暗号資産投資を開始した際の初期投資額は「10万円未満」が合計72.64%に達することが分かりました。特に「1万円以上〜10万円未満(38.44%)」が最大のボリュームゾーンとなっており、多くの保有者がまずは生活に支障のない範囲で市場に参入している実態がうかがえます。暗号資産はボラティリティが高いという認識が浸透しており、最初から多額の資金を投じるリスクを避ける傾向が顕著です。
現在の投資規模についても同様の傾向が見られますが、初期と比較すると「10万円以上」の層が着実に増加している点に注目すべきです。「10万円以上〜50万円未満」は当初の16.29%から19.54%へ、「50万円以上」は6.19%から9.77%へとそれぞれ拡大しています。少額からスタートした保有者が、相場への理解を深めるにつれて投資額を積み増し、資産規模を拡大させているプロセスがデータから読み取れます。
一方で、現在も「1万円未満(29.64%)」および「1万円以上〜10万円未満(35.18%)」が全体の約3分の2を占めている事実は重要です。投資規模を無理に拡大せず、自身の管理可能な範囲で継続的に運用する姿勢が、日本の個人保有者におけるマジョリティであるといえます。暗号資産は「少額からでも始められる」という特性が、幅広い層に支持される要因となっていることが改めて浮き彫りになりました。
50万円以上の投資層では約半数が利益20万円超
現在の投資規模 / 直近利益 | 10万円未満 | 10万〜50万未満 | 50万円以上 | 利益なし・他 |
|---|---|---|---|---|
1万円未満 | 84 | 3 | 1 | 3 |
1万円以上〜10万円未満 | 93 | 9 | 2 | 4 |
10万円以上〜50万円未満 | 29 | 25 | 4 | 2 |
50万円以上 | 2 | 12 | 14 | 2 |
答えたくない | 6 | 1 | 2 | 9 |
現在の投資規模と年間利益額のクロス集計を行うと、投資額の増加に伴って高額利益を獲得する割合が劇的に上昇する相関関係が確認されました。
1万円未満の層では、利益額も10万円未満に留まる割合が圧倒的です。これに対し、50万円以上の資金を投じている層では、30名のうち26名が年間20万円以上の利益を達成しており、その割合は約86.7%に達します。
特筆すべきは、投資規模が50万円以上の層から50万円以上の高額利益者が14名も出現している点です。これは、十分な投資元本を確保することが、暗号資産市場におけるリターンの絶対額を押し上げるための決定的な要因であることを示唆しています。元本が大きければ、わずかな価格変動であっても実額としての利益は大きくなり、無理なトレードをせずとも効率的な資産形成が可能になります。
とはいえ、投資規模が10万円未満の層であっても、着実に5万円から10万円の利益を上げているケースが多く見られる点も無視できません。少額保有者であっても適切なタイミングで利益を確定させることで、元本に対する利回りとしては非常に高いパフォーマンスを実現していることが推察されます。投資規模に応じた利益の限界はあるものの、自身の資金量に見合った最適な運用を行うことで、着実な成果を得られている実態が明らかになりました。
利益の源泉は長期保有が最多
利益の主な源泉 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
長期保有による売却益 | 140人 | 45.60% |
短期売買(トレード) | 69人 | 22.48% |
複数の取引の合算 | 53人 | 17.26% |
分からない | 31人 | 10.10% |
運用益(ステーキング等) | 14人 | 4.56% |
今回の調査で得られた利益がどのような取引によるものかを分析したところ、「長期保有による売却益」が45.60%で最多となりました。これは、前項で触れた「長期保有」という投資スタイルが、実際に収益化の最も強力なエンジンとして機能していることを証明するデータです。日々の相場変動に一喜一憂せず、資産の価値成長を待つ姿勢が、最終的な成功に繋がっていることが分かります。
「短期売買(22.48%)」による利益も一定数存在しますが、長期保有の約半分の割合に留まっています。短期トレードは高い技術と時間を要するため、一般の個人保有者にとっては長期保有の方が再現性の高い収益手段であると分析できます。また、「複数の取引の合算(17.26%)」という回答からは、保有と売買を組み合わせることでリスクを分散しながら利益を積み上げている保有者像も見えてきます。
一方で、ステーキングやレンディングなどの「運用益(4.56%)」を主軸とする層はまだ少数派です。しかし、これらは保有しているだけで報酬が得られるインカムゲイン型の収益モデルであり、今後の市場成熟とともに注目が高まる可能性があります。現状では、価格上昇によるキャピタルゲインを主目的としつつ、長期的な視点で資産をホールドすることが、暗号資産投資における「勝てる戦略」の定石となっていると言えます。
利益実感は5割が「想定内」と回答
5割超がニュースサイトを参照
情報源 | 回答数 | 選択率 |
|---|---|---|
ニュースサイト | 169人 | 55.05% |
SNS(X、YouTube、TikTokなど) | 147人 | 47.88% |
仮想通貨の専門メディア | 128人 | 41.69% |
取引所や公式サービスの案内 | 121人 | 39.41% |
友人・知人 | 87人 | 28.34% |
特に情報収集していない | 16人 | 5.21% |
自社で行った調査の結果、暗号資産取引に関する情報源として「ニュースサイト」が55.05%で最多となりました。次いで「SNS」が47.88%、「専門メディア」が41.69%と続いており、複数のデジタルチャネルを組み合わせて多角的に情報を収集している保有者の姿が浮き彫りになりました。特に時事性の高いニュースサイトが首位であることは、マクロ経済や規制動向が価格に直結する暗号資産の特性を反映しています。
投資スタイル別の傾向を見ると、長期保有派はニュースサイト(81名)とSNS(79名)をほぼ同等に活用していることが分かりました。一方で、短期売買と長期保有を併用する層では、ニュースサイトの利用率が最も高く、情報の正確性と速報性の両面を重視していることが推察されます。取引所からの公式案内も約4割に支持されており、信頼性の高い一次情報を基盤に据えつつ、SNSで市場の「熱量」を把握するハイブリッドな情報収集が一般的になっています。
特筆すべきは「友人・知人」からの情報も約28%存在しており、コミュニティ内での口コミが依然として一定の影響力を持っている点です。しかし、全体としては「特に情報収集していない」層はわずか5.21%に留まっており、暗号資産保有者のほとんどが何らかの手段で能動的に学習を続けています。精度の高い情報収集が、不確実性の高い市場で生き残るための必須条件であるという共通認識が保有者の間に定着しているといえるでしょう。
長期保有層の約半数が想定通りの利益
投資スタイル / 利益の実感 | 想定していた範囲内 | 思っていたより少なかった | 想像以上に多かった | 特に意識していない |
|---|---|---|---|---|
長期保有が中心 | 79 | 51 | 10 | 8 |
短期売買と長期保有の両方 | 41 | 11 | 8 | 7 |
短期売買が中心 | 22 | 25 | 2 | 8 |
取引頻度は高くない | 7 | 6 | 1 | 5 |
答えたくない | 1 | 0 | 2 | 13 |
獲得した利益に対する主観的な実感を確認したところ、全体で最も多かった回答は「想定していた範囲内だった(48.86%)」でした。これは、多くの保有者が市場のボラティリティを事前に理解し、無理のない目標設定を行っていることを示唆しています。特に長期保有層では、約53%が「想定内」と回答しており、じっくりと腰を据えた運用が心理的な余裕と安定した期待値管理に寄与している実態がうかがえます。
興味深いことに、短期売買を主軸とする層では、利益が「想定内(22名)」よりも「思っていたより少なかった(25名)」という回答が上回る結果となりました。短期トレードは高い収益性を期待して取り組む保有者が多いものの、実際には相場の急変や手数料によって、理想と現実の乖離が生じやすい難しさがデータに表れています。「想像以上に多かった」と回答した成功層は全体の7.49%に留まっており、暗号資産投資において「棚ぼた」的な利益を得ることは決して容易ではない現実を突きつけています。
ハイブリッド型(両方を使い分け)の層では、利益を「想定内」とする割合が非常に高く、納得感のある運用ができている様子が見て取れます。自分のスタイルを確立できている層ほど、得られた結果を冷静に受け止める傾向が強く、これが長期的な投資継続のモチベーションとなっている可能性があります。全体を俯瞰すると、感情的な期待に流されず、事実としての収益を「想定通り」と捉えられる保有者こそが、市場で安定した立ち位置を築いているといえるでしょう。
4割が効率的なスタイルを模索

今後知りたい情報 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
利益が出やすい取引スタイル | 127人 | 41.37% |
税金や確定申告との関係 | 77人 | 25.08% |
リスクや損失の実態 | 45人 | 14.66% |
他の人の利益分布や事例 | 30人 | 9.77% |
特にない | 28人 | 9.12% |
保有者が今後求めている情報を調査したところ、「利益が出やすい取引スタイル」が41.37%と圧倒的な首位となりました。現在の運用で一定の利益は出ているものの、より効率的、あるいは安定した収益獲得手法を模索している保有者の向上心がうかがえます。全投資スタイルにおいてこの項目が最も高く、暗号資産という進化の早い市場において、常に手法をアップデートしたいという強いニーズが確認されました。
次いで関心が高かったのは「税金や確定申告(25.08%)」です。暗号資産は税制が複雑であり、利益が出た後の出口戦略として税務処理が避けて通れない課題であることを保有者は強く意識しています。特に長期保有層やハイブリッド層からの需要が高く、利益を確保した後の「実質的な手残り」を守るための知識が求められている現状が浮き彫りになりました。
また、「リスクや損失の実態(14.66%)」を知りたいという回答も一定数存在し、表面的な成功体験だけでなく、裏側にあるリスクを正確に把握しようとする慎重な姿勢も見られます。暗号資産保有者は、決して利益のみを盲信しているわけではなく、制度的な課題や潜在的なリスクを総合的に判断しようとする高いリテラシーを持っています。これらのデータは、今後メディアやサービスが提供すべき情報の方向性を、明確に示唆する結果となりました。
まとめ
本調査を通じて、現代の暗号資産保有者の実像が鮮明になりました。かつての投機的なイメージとは異なり、多くの保有者がリスクをコントロールしながら着実に資産を築こうとする、健全な市場の姿がデータに表れています。
また、保有者の約75%が利益を経験しているものの、その約7割が年間利益10万円未満という堅実なレンジに収まっていることが分かりました。運用スタイルは「長期保有」が主流であり、実際に利益の源泉の約46%は売却益が占めています。また、7割以上が10万円未満から運用を開始し、経験を積むにつれて段階的に投資額を引き上げる傾向が鮮明です。
総括として、暗号資産市場で安定した成果を出すための鍵は、自身の許容できる少額からスタートし、信頼できる情報を収集しながら長期的な視点で資産をホールドすることにあると言えます。

