「あなたが毎日使っている取引所、本当に安全だと思いますか?」

この問いに自信を持って「はい」と答えられますか?

507名の投資家を対象にした本調査では、国内大手取引所の安全性への信頼度は比較的高い一方、「取引所のセキュリティが不安」と感じているユーザーが一定数存在することが明らかになっています。

取引所を選ぶ際に何を重視すべきか、自分の判断基準は正しいのか。

本調査のデータをもとに、改めて確認してみましょう。

調査属性

区分

回答数

構成比

男性

308名

60.7%

女性

199名

39.3%

Y世代(1981-1996年生まれ)

193名

38.1%

氷河期世代(1970-1980年生まれ)

151名

29.8%

Z世代(1997-2012年生まれ)

66名

13.0%

バブル世代(1962-1969年生まれ)

49名

9.7%

新人類世代(1957-1961年生まれ)

31名

6.1%

取引所利用状況

調査対象者のうち、現在暗号資産取引所を利用している層は37.9%(192名)です。

過去に利用していたが現在は利用していない層(92名、18.1%)の存在は、セキュリティ以外の要因、例えば手数料、機能、カスタマーサービス、市場動向なども利用継続の判断に影響していることを示唆しています。

また、44.0%(223名)が取引所を一度も利用したことがないということです。この層の多くは「セキュリティが不安」「ハッキングされるリスクが怖い」といった理由を挙げており、市場拡大の阻害要因となっている可能性があります。

現在利用中の取引所(複数回答可)

現在利用中の取引所を複数回答で聞いたところ、Coincheckが21.3%(108名)で最も多く利用されており、次いでGMOコイン19.9%(101名)、bitFlyer 15.8%(80名)という結果になりました。

国内大手3社でそれぞれ20%前後のシェアを保有しており、競争構図が明確になりました。一方で海外取引所のBinance(4.7%)やBybit(4.5%)の利用もあり、規制環境や機能性によって使い分けるユーザーがいる可能性も示唆しています。

安全性満足度ランキング

取引所を選択する際のセキュリティに関する信頼度は、複数の要因から形成されています。調査では「最も安全性に満足している取引所はどこか」という質問を行いました。結果は以下の通りです。

あなたは取引所の安全性を何で判断していますか?多くのユーザーが重視しているポイントを一緒に確認しましょう。

安全性判断の重視ポイント

投資家が取引所の安全性を判断する際に最も重視するポイントを複数回答で聞きました。

結果から、セキュリティに関する認識が多層的であることが明らかになっており、最も多くの投資家(27.0%)が「二段階認証」の充実度を重視している一方で、「資産保全方法」(23.7%)「ハッキング対策」(23.5%)も同等の関心を集めています。

これは、セキュリティ対策が技術的な側面だけでなく、運営方針と実績に基づいて評価されていることを示しています。

また、20.1%のユーザーが「運営会社の信頼性」を重視しており、金融庁の規制枠組みと企業の社会的信用度の両方が安全性評価を左右していることが分かります。

安全性情報の収集方法

投資家が取引所の安全性情報をどこから得ているのかを調査することも重要です。「ニュースサイト」が26.8%で最多となっており、続いて「SNS」(26.6%)、「専門メディア」(22.3%)と続きます。

興味深いのは、公式情報よりもメディアからの情報を信頼する傾向が強いという点です。これは、金融庁の規制体制に対する不安や、企業自身の発表に対する懐疑的な見方が存在することを示唆しています。

一方で、「取引所公式」から情報を得ているユーザーは18.5%に留まっています。

世代別の安全性意識分析

年代によって、取引所の安全性に対する考え方に差があるのでしょうか。この調査では世代別のクロス分析も実施しました。

世代

構成比

回答数

安全性重視度

取引所利用率

Y世代

38.1%

193名

高い

43%

氷河期世代

29.8%

151名

非常に高い

40%

Z世代

13.0%

66名

中程度

35%

バブル・新人類世代

15.8%

80名

最高

32%

投資経験年数と安全性認識の関連性

取引所の安全性に関する認識は、投資経験年数と相関関係があることがわかりました。経験が長いほど、セキュリティの複雑性を理解し、単一の要素(例えば二段階認証)だけでは安心が得られない傾向が強まっています。

一方で、初心者層は規制枠組みと日本語サポートの存在を重要指標として認識していることがわかりました。

経験年数

回答数

構成比

特徴

1年未満

81名

16.0%

規制・日本語サポート重視

1〜3年

116名

22.9%

バランス型の安全性認識

3〜5年

48名

9.5%

技術詳細への関心高い

5年以上

39名

7.7%

複数取引所の比較検討

国内vs海外取引所の安全性評価

国内取引所と海外取引所の安全性認識には、大きな差があることが本調査から明らかになりました。

国内取引所を信頼する理由の第一は「金融庁の規制」でしょう。日本の法体系による保護、業務改善命令などの監視体制、破綻時の救済制度(現在は未整備ですが、整備への期待)が、投資家に安心感をもたらしています。

一方で、海外取引所(Binance、Bybitなど)を利用しているユーザーは「取扱銘柄が豊富」「手数料が安い」といった利便性を優先する傾向があり、セキュリティリスクをある程度許容している傾向が見られています。

これは世代によっても異なり、Z世代では海外取引所の利用率がY世代よりも高い傾向にあります。

セキュリティリスク認識の多様性

調査結果から、投資家のセキュリティリスク認識には以下のような多様性が存在することがわかりました。

第一に、ハッキングリスクに対する懸念度の違いです。一部の投資家は技術的なセキュリティ対策(冷蔵庫保管、マルチシグなど)に強い関心を示しますが、大多数は金融庁の規制による安全性を優先する傾向があります。これは、技術的知識と信頼の源泉が異なることを示唆しています。

第二に、規制リスク認識の違いです。海外取引所を利用する投資家の中には、日本の規制がむしろ利便性を損なうと考える層が存在する一方で、大多数は規制による保護を安全性の根拠として考えています。

実際に、前述の「国内規制対応」を重視するユーザーは13.0%に留まっており、多くのユーザーが技術的・実績的な信頼を優先していることが分かります。

第三に、カウンターパーティリスク認識です。取引所自体の経営安定性、親会社の資本力、過去のセキュリティインシデント対応の実績などが、総合的な安全性評価を形成しているのでしょう。Coincheckが14.2%で安全性満足度1位となっているのは、2018年の大規模ハッキング事件後の対応が評価されたからと考えられます。

主要な知見

本調査から明らかになったのは、取引所のセキュリティに関する満足度が、技術的対策だけでは決定されないということです。投資家の安全性評価は、以下の三層からなっていることがわかります。

第一層は、制度的信頼です。金融庁の規制枠組み、日本の法体系による保護、政府機関への信頼が、大きなウェイトを占めており、これは技術的には強固でも規制外である海外取引所への懸念として表れているのです。調査では、「国内規制対応」を明示的に重視するユーザーは13.0%に留まっていますが、これは制度的信頼が「当然の前提」として機能していることを示唆しているのでしょう。

第二層は、実績的信頼です。過去のセキュリティインシデント対応、顧客保護対応、カスタマーサービス体制などの実績が、継続利用の意向を形成しており、Coincheckの高い評価は、2018年の大規模ハッキング後の誠実な対応(被害者への補償、セキュリティ体制の強化)に基づいているといえるでしょう。

第三層は、技術的信頼です。暗号化、二段階認証、冷蔵庫保管比率などの技術仕様が、高度な知識を持つ投資家層に重視される傾向があります。ただし、調査結果では「ハッキング対策」を重視するユーザーは23.5%に留まっており、初心者層では技術的詳細への関心が限定的であることがわかりました。

市場への示唆

この調査結果から、あなたが取引所を選ぶ際に知っておきたい重要な傾向が見えてきます。

まだ投資を始めていない方(44.0%)の多くは、セキュリティ情報の分かりにくさが一歩踏み出せない原因になっています。安全性に関する情報が透明に開示されている取引所を選ぶことが、安心して投資を始めるための重要な判断基準です。

国内大手3社(Coincheck、GMOコイン、bitFlyer)への信頼が高い一方で、自分の投資スタイルに合った取引所をしっかり比較・検討することが大切でしょう。

結論

暗号資産の保管・取引における安全性は、取引所選択の最重要基準の一つです。本調査では、投資家の安全性評価が制度的信頼を中心に構成されており、技術的対策は補助的な役割に留まっていることが明らかになりました。つまり、国内取引所が金融庁の規制枠組みとセットで信頼を獲得している一方で、海外取引所が規制外であることによる不安を払拭することが困難であることを意味しているのです。

取引所の安全性は、あなたの資産を守る土台です。本調査では「二段階認証」「金融庁登録」を重視するユーザーが多いことが示されています。もし今の取引所のセキュリティ設定を見直したことがないなら、ぜひこの機会に確認してみましょう。

二段階認証の設定、出金先アドレスの固定、ログイン通知の有効化、小さな設定の積み重ねが、大切な資産を守ることにつながります。

調査概要

項目

内容

調査名

取引所の安全性に対する満足度比較調査

調査実施日

2026年2月24日

調査方法

インターネット調査

調査対象

国内在住の男女(18歳以上)

有効回答数

507名

実施機関

株式会社clabo

※本記事中のデータはすべて上記調査に基づきます。割合は小数点第2位を四捨五入して表示しています。

本レポートは情報提供を目的としており、いかなる投資勧誘や助言を構成するものではありません。暗号資産投資には高いリスクが存在し、投資判断は自己責任で行ってください。本レポートの内容の正確性、完全性、有用性について、いかなる保証も提供いたしません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の判断で行い、必要に応じて専門家の助言を求めてください。